2023年12月16日土曜日

奥歯のすれ違い咬合について。

片方、又は両方の奥歯がすれ違い咬合になっている場合がよく見られます。例えば、右の前から数えて7番目の奥歯がすれ違い咬合になった場合を考えて見ましょう。上の7番は外側にはみ出て、下の7番は逆に内側に倒れてすれ違いになっていて、咬みあっていない場合ですが、この場合どのような現象が起こるかと言うと、上の外側にはみ出て倒れた歯の外側面が、頬の粘膜に強く当たり、粘膜面刺激するようになります。特に開口時その刺激が大きくなります。そうすると、無意識の中にその刺激を緩和しようと自分の顎を右にずらして開口します。つまり、右噛みをするような習慣がついてしまうのです。その刺激がある限りその人はずっと右で咬むという方噛みになります。右でばかり咬むことで、右の奥歯に過重負担がかかり、歯が次第に崩壊をして行きます。これが、虫歯や歯槽膿漏を促進して行くのです。両方の奥歯で均等に噛めば歯が崩壊することはありません。咬み合わせのアンバランスが歯を痛めて行くのです。それで、このような方噛みをなくすためには、このすれ違い咬合を解消しなければならないのですが、このすれ違いになった奥歯を抜歯する時は、抜歯をする前に咬み合わせの調整をしながら、慎重にする必要があります。原因の歯をいきなり抜歯をすると、今までこの歯のために右に逃げていた顎が急に左に戻ります。そのことで、顎の関節に急激な変化を引き起こし、全身に大きな負担がかかります。この場合右の7番をいきなり抜くと、左の顎関節に負担が急にかかって、心臓に症状が出ます。そのような事が起こらないように、調整をして、顎が右に逃げている要素を出来るだけ少なくして左への偏位量を最小限に無くす事が必要なのです。調整を行って抜歯をすれば、大丈夫です。

2023年12月9日土曜日

左上の2番目の前歯が2~3日前から痛み始めて、自宅近くの歯科で抗生剤と鎮痛剤をもらって飲んだが効かない。今も痛いのですぐに治療をして欲しい。

という主訴で来られました。痛い前歯は神経を取って薬を詰めた治療済みの歯です。レントゲンの写真では根っこの先が少し黒くなっています。 そこに膿が溜まって痛みが起こっていると近くの歯科で、言われているので、その治療をして欲しい、と言うことでした。ほんとに膿が溜まっているのなら、外側の歯茎も腫れているはずですが、歯茎は腫れていないし、赤くもなっていませんでした。それで、この方の上下の歯の噛み合わせを診て見ると、右下の7番目の奥歯がクロスバイト、すれ違い咬合、上の歯が外側に傾き、下の歯が内側に傾いてすれ違いの咬み合わせになっていました。その為に顎が右に行くことができないで、この人はいつも左で咬む咬み方でした。その時に上の2番目の前歯の内側に下の前歯が常に当たっていたので、当たるたびにその歯に力がかかり、歯根膜炎を起こして、痛みが出た、と言う事で、そこが当たらない様に調整をして、様子を見て頂くことにしました。恐らく、これで、痛みは無くなったと思います。ちょっとした当たりでも、それが長期にわたって続けば歯根膜炎を起こし、痛くなります。偏った咬み方は、歯に過重な負担を掛け、歯を破壊して行きます。両方で均等に噛んでこそ、歯は長持ちをします。この人の片咬みの原因は右下の7番目の歯のすれ違いが原因です。この歯の治療は今の所、残念ながら抜歯しかありません。しかし、抜歯は充分に注意をしてしないと、抜歯をした後に身体へかなりの影響が出ますから、簡単にはいきません。抜歯をする前に、この人はこの右の奥歯のすれ違い咬合のため、顎が右に動く状態に(右偏位に)なっていますから、抜歯をいきなりすると、顎が急に右に動いて身体がその急な変化についていけず、全身的な症状が出ます。従って、抜歯をする前に、抜歯をしても、顎が右へ出来るだけ行かない様に右偏位になっている原因をできるだけなくす歯の調整をしてから、行う事が大事です。その調整を行って抜歯をすれば、心配はありません。やるべき準備と整えてから行えば大丈夫です。