院長日記
吉田てつたろう歯科の院長日記です。
2024年12月14日土曜日
冬になり水鳥浮かぶ池の上 原因不明の歯の痛み
11月の下旬、右下の奥歯と左上の奥歯が2~3日前から、痛み始めました。虫歯かどうか、診て下さいと言って若い女性が来られました。見てみると、歯は欠けていないし、虫歯にもなっていません。きれいな健康な歯です。しかし咬むと痛みがあるというのです。何故?よく判らないので、Oリングで調べると、右のTMJに反応があります。と言う事は、この人は右噛みだと言う事です。右で咬むと当然右の犬歯ガイドをよく使うと言う事です。と言う事は犬歯が摩耗して短くなって来る訳です。短くなると臼歯の部分に接触が出始めます。その接触は、右であれば右上の臼歯の頬側内斜面、右下の臼歯の頬側外斜面に出て来ます。反対側では主に小臼歯部の舌側遠心斜面に(上顎)出やすい。この当たりは、歯を倒す力ですから、歯根膜に圧力が加わり、痛みが出るのです。C点の当たりで痛いのです。本当は、右偏位を起こしている原因を無くすことですが、これは顎運動機能回復治療になりますから、自費治療になります。応急処置として、痛みの原因のC点の当たりを取るだけにしました。これで、痛みは無くなります。
2024年11月14日木曜日
上顎結節が下顎の前方、側方運動を干渉して、片側咬みの原因になっている事がある。
左下の失活歯のCKが破損して、再製するために全顎模型をとって、解ったことですが、左上の7番との咬み合わせに問題がありました。左下の7番はまだ歯冠がありますが、上の7番は歯冠部がほとんど無く、ほとんど埋伏歯の状態です。その為に歯槽骨が大きく発達して上顎結節が肥大しています。為に左下の7番の遠心歯肉部にほとんど接触するような感じになっています。ところが上顎結節が大きく発達している為に下顎の前方、側方運動時に下顎の下顎枝が上顎結節にぶつかって、干渉しています。その為に左噛みになり、左下の6,7番に負荷がかかり、歯が壊れた訳です。今の状態のままでは、そのうちにまた左の入れ直したCKが壊れてしまう事になるので、左上の7番の抜歯をおすすめしました。できるだけ、抜歯は避けるべきですが、この様な場合、この歯の為に、左噛みで他の健康な歯までが悪くなる場合は、丈夫な自分の歯を守る為に抜歯をすべきだと思います。
2024年7月23日火曜日
対角線の法則
2カ月ほど前、診療終了間際に5歳ぐらいの男の子を連れた女性が突然入って来て、意識朦朧とした感じで、2~3日前から左の奥歯が痛み始めて辛いので、治療して下さい、と訴えられました。見た様子が、余りにも痛々しくて、苦しそうでしたので、診させて頂きました。レントゲン写真を撮って見ましたが、どこにも虫歯は出来ていません。しかし御本人は、痛いと言っているのです。原因は?判りません。Oリングで調べると、右のTMJに反応が有ります。右偏位です。顎が右にずれて、右で咬んでいると言う事です。改めて、口腔内をよく見てみると、右下7番にクラウンが入っています。この7番の上下の咬合状態が異常でした。上の7番の舌側咬頭が異常に大きくしかも、咬合平面から下に飛び出しています。そもそも、萌出した時に上の7番が基準咬合平面から下に伸びて、生えて来たのだと思われます。従って、上の7番の咬頭が下の7番の中心窩にめり込むようにスッポリ入り込んだ咬合状態になっています。下7番が歯冠崩壊した後、クラウンを入れる時に、そのまま、前と同じ咬合状態にしてしまった。本来は下の7番の歯冠崩壊の原因であった上の7番の舌側咬頭を削って基準咬合面に揃えて、下の7番のクラウンを入れるべきでした。そのまま、メタルクラウンにしてしまった為に、完全に下顎がロックされて、右にバックさせられ、前方運動も、左側方運動も出来なくなってしまいました。顎運動の咬頭干渉が固定されてしまったのです。完全に右でしか咬めなくなった。しかし、これでは、余りにも辛いので、本能的に顎を左前方に動かして、左の6番で咬むようになった訳です。それで、今度は、左の奥歯が痛くなったと、言う事です。本当は右の上の7番の舌側咬頭が下がり過ぎているのが原因なのですが、応急処置として、下の7番のクラウンの中心窩の周りの辺縁部を、前方、左側方、右側方運動が出来るように、削除形態修正をしました。これだけで、右の咀嚼筋群の緊張が取れて、楽になります。尚且つ、左でも咀嚼できるようになるので、右咀嚼をしなくても、咬むことができ、食事が出来ます。この処置が終わった時、患者さんの解放されて緊張がとれて、楽になった表情が印象的でした。この様に、無意識のうちに反対側で咬む現象を対角線の法則と歯科では言いますが、この法則について、歯科界で語られることはほとんどありません。知られていないからです。咬み合わせの不思議な現象について、勉強している一部の歯科医師だけが知っている法則なのです。今回はそんな一般にはほとんど知られていない、しかし本当の歯科の法則について、紹介させて頂きました。
2024年3月16日土曜日
ウグイスの鳴き声響く春の朝
もうすぐ、春分です。今の時、大濠公園に朝散歩に行くと、晴れた日には日の出を見る事が出来ます。
ちょうど舞鶴城の石垣の左側からオレンジ色の朝日がゆっくりと昇って来ます。そして、今お城の石垣の上に、
桜まつりの為に、一時的に天守閣が作られています。どんなお城なのか。一度見に行って見たいと思います。
2024年3月2日土曜日
左上の4番、5番の歯の辺りが食事中に途中から、冷たい物、熱いものがじわっと浸みて咬めない。かかりつけの先生に診てもらったが、虫歯ではないし、原因が分からないと言われた。
と言う事で、来院されました。レントゲンを撮って調べても特に異常はありません。何が原因で浸みるのでしょうか?この方の右の下は奥歯が2本有りません。智歯は上下しっかりと噛んでいます。下の奥歯が2本無いと言う事は右咬みだったと言う事です。しかし、奥歯が2本無くなって、咬みにくいので、左で咬んで、左上の4番、5番に負担がかかって、知覚過敏症になっているようです。咬んでいる時の負担だけでなく、寝ている時も常時そこで、噛みしめているようです。それで、まず、右の奥歯2本が無くなった原因を探して見る事にしました。この方の歯の状態を左右上下よく観察してみると、右上の奥歯が左上の奥歯に比べてかなり外側にはみ出していました。この方が右咬みだった原因は、この上の2本の奥歯の外側の粘膜に対する摩擦です。開口時にこの粘膜への摩擦による刺激を回避するように、顎を右にずらして、右噛みをしていました。これが、右下の2本の奥歯が破壊され、無くなった原因です。と言う事で、右で咬めなくなったので、左で咬んで、左の上の4番、5番の歯が負担過重になった訳ですが、その負担をさらに大きくする理由がありました。この方の左下に智歯があって、内側に倒れていました。上には智歯はありません。ですから、直接には咬み合っていないのですが、内側に倒れている為に舌の側面がこの智歯の内側に強く当たって、舌の動きを邪魔しています。舌が前に出れずに、後方に下がって顎が左にずれて、左噛みになっています。その上、右の4番、5番の噛み合わせがうまくいってなくて、咬みにくい事がわかりました。要するに、右が咬みにくい状態で、しかも左下の智歯ために、左噛みになっているのが、左の4番、5番負担がさらに大きくなっている事がわかりました。そこで、まず、最初に右噛みの原因であった右上の7番、8番の外側の部分を粘膜を刺激しない形態に修正しました。次に左下の智歯の内側を舌の邪魔にならない形態に修正をし、右の4番、5番の噛み合わせを修正をしました。これで、左の4番、5番の負担が軽くなり、浸みなくなりました。更に、右下の6番、7番に義歯を入れる事をお勧めしました。
2023年12月16日土曜日
奥歯のすれ違い咬合について。
片方、又は両方の奥歯がすれ違い咬合になっている場合がよく見られます。例えば、右の前から数えて7番目の奥歯がすれ違い咬合になった場合を考えて見ましょう。上の7番は外側にはみ出て、下の7番は逆に内側に倒れてすれ違いになっていて、咬みあっていない場合ですが、この場合どのような現象が起こるかと言うと、上の外側にはみ出て倒れた歯の外側面が、頬の粘膜に強く当たり、粘膜面刺激するようになります。特に開口時その刺激が大きくなります。そうすると、無意識の中にその刺激を緩和しようと自分の顎を右にずらして開口します。つまり、右噛みをするような習慣がついてしまうのです。その刺激がある限りその人はずっと右で咬むという方噛みになります。右でばかり咬むことで、右の奥歯に過重負担がかかり、歯が次第に崩壊をして行きます。これが、虫歯や歯槽膿漏を促進して行くのです。両方の奥歯で均等に噛めば歯が崩壊することはありません。咬み合わせのアンバランスが歯を痛めて行くのです。それで、このような方噛みをなくすためには、このすれ違い咬合を解消しなければならないのですが、このすれ違いになった奥歯を抜歯する時は、抜歯をする前に咬み合わせの調整をしながら、慎重にする必要があります。原因の歯をいきなり抜歯をすると、今までこの歯のために右に逃げていた顎が急に左に戻ります。そのことで、顎の関節に急激な変化を引き起こし、全身に大きな負担がかかります。この場合右の7番をいきなり抜くと、左の顎関節に負担が急にかかって、心臓に症状が出ます。そのような事が起こらないように、調整をして、顎が右に逃げている要素を出来るだけ少なくして左への偏位量を最小限に無くす事が必要なのです。調整を行って抜歯をすれば、大丈夫です。
2023年12月9日土曜日
左上の2番目の前歯が2~3日前から痛み始めて、自宅近くの歯科で抗生剤と鎮痛剤をもらって飲んだが効かない。今も痛いのですぐに治療をして欲しい。
という主訴で来られました。痛い前歯は神経を取って薬を詰めた治療済みの歯です。レントゲンの写真では根っこの先が少し黒くなっています。
そこに膿が溜まって痛みが起こっていると近くの歯科で、言われているので、その治療をして欲しい、と言うことでした。ほんとに膿が溜まっているのなら、外側の歯茎も腫れているはずですが、歯茎は腫れていないし、赤くもなっていませんでした。それで、この方の上下の歯の噛み合わせを診て見ると、右下の7番目の奥歯がクロスバイト、すれ違い咬合、上の歯が外側に傾き、下の歯が内側に傾いてすれ違いの咬み合わせになっていました。その為に右噛みになって、この人はいつも右で咬む咬み方でした。ずっと右で噛むのが辛くなって、本能的に顎を左前方に出して噛むようになります。その時に上の2番目の前歯の内側に下の前歯が常に当たり、当たるたびにその歯に力がかかり、歯根膜炎を起こして、痛みが出た、と言う事で、そこが当たらない様に調整をして、様子を見て頂くことにしました。恐らく、これで、痛みは無くなったと思います。ちょっとした当たりでも、それが長期にわたって続けば歯根膜炎を起こし、痛くなります。偏った咬み方は、歯に過重な負担を掛け、歯を破壊して行きます。両方で均等に噛んでこそ、歯は長持ちをします。この人の片咬みの原因は右上下の7番目の歯のすれ違いが原因です。この歯の治療は今の所、残念ながら抜歯しかありません。しかし、抜歯は充分に注意をして行わないと、抜歯をした後に身体へかなりの影響が出ますから、簡単にはいきません。抜歯をする前に、この人はこの右の奥歯のすれ違い咬合のため、顎が右に動く状態に(右偏位に)なっていますから、抜歯をいきなりすると、顎が急に左に動いて身体がその急な変化についていけず、全身的な症状が出ます。従って、抜歯をする前に、抜歯をしても、顎が左へ出来るだけ行かない様に右偏位になっている原因をできるだけなくす歯の調整をしてから、行う事が大事です。その調整を行って抜歯をすれば、心配はありません。やるべき準備と整えてから行えば大丈夫です。
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