2023年11月19日日曜日

2~3日前から左下の奥歯が痛くなって来ました。虫歯では?思って来ました。

25歳の若い女性が診察に来られました。レントゲンを撮って見ましたが、虫歯は出来ていません。外から見てもきれいな歯です。口腔内全体をよく見て診ると、右下に親しらず(智歯)が生えていました。この親知らずがやや外側にはみ出して生えていました。この親知らずの外側の咬頭(歯の山の高い所)が、頬の粘膜に当たっていました。このような粘膜と歯の接触が起こると、反射的にその刺激を避ける様に顎が動きます。この場合は、顎を左に動かす反射運動が起こります。と言う事でこの人場合左の奥歯が上の奥歯と強く当たり始めて痛みが出て来た、ということです。この場合は、この親知らずが、頬の粘膜を刺激しない様に当たっている部分を当たらない様に無くしてやれば、左の歯の上の歯に強く当たる所を削らなくても痛みが取れます。しかし、このような治療は保険適用外になるので自費治療になり、費用がかかるのと、虫歯でもないきれいな自分の歯を削りたくないと言う気持ちが強いのとで、見合わせる方が多いのは、残念です。歯と周囲の軟組織との調和が、実は虫歯や歯槽膿漏などから、自分の歯を守って行く最も効果的な予防方法なのですが。この人の場合、親知らずが生えて来ていて、ちょうど頬の粘膜に当たり始めた時期だったのだと思います。

2023年11月17日金曜日

親知らず(智歯)が原因で引き起こされるさまざまな症状。

親知らず(智歯)は一番最後に生えて来る歯なので、顎運動に大きな影響を与えます。親知らずの生え方で、かた噛みの癖ができます。ある人は右噛み、又ある人は左噛みになって行きます。右で咬む癖の人は、右の奥歯をよく使いますから、右の奥から2番目の歯と左の一番奥の歯が壊れやすい。これから、上下の歯のバランスが壊れて行きます。例えば、左の下の親知らずがあるが、上の親知らず無い、もしくは抜歯して無くなった場合、左下の親知らずは上にだんだん伸びて来ます。そうなると、顎を前に出すときに、または右に動かす時に、親知らずが上の奥歯に当たる様になります。前歯で咬む時、右の奥歯で咬む時、咬みにくくなって来ます。そして、左噛みが定着します。逆に下の親知らずが無くて、上の親知らずが下に下がって来ると、今度は上の親知らずが下の歯茎に当たり始めます。この歯と粘膜の接触が始まると、その刺激を避けて、顎を右に動かして咀嚼運動をするようになります。つまり、この場合、反対側右側で咬むようになります。右でも、左でも咬めるという正常な顎運動が出来なくなります。その影響が、前歯や、小臼歯などに及び、それらの歯が傷んでいくことになります。自分の歯を虫歯や歯周病などから予防して行く為には、この問題を解決することが大事です。ただ、この親知らずを安易に抜歯することは、これまた、身体に大きな影響を与えますから、慎重にしなければなりません。そこが、難しいところです。

昨日の夜から左の奥歯が痛くなり眠れませんでした。朝になると、口が開きにくく、ご飯が食べれません。左の奥歯が虫歯では?

と言う事で、痛くてたまらないという感じで来院されました。レントゲンを撮って見ました。虫歯はありません。ただ左の上にある親知らず(智歯)が下に延びて来て、 下の歯茎に噛み込んでいました。下の親知らずは未萌出ですが、埋伏していて、歯茎のすぐ下に生えていました。と言う事で、下の歯茎が上の親知らずと下の埋伏した親知らずに挟まれて、傷が付いて、痛くなってしまった、と言う事でした。応急処置として、上の下に延びて来ている親知らずの頭を下の歯茎に当たらない程度に削り、噛んでも痛くない様にします。これで、ご飯が食べれます。そして、私の病院の近くの総合病院の口腔外科で抜歯をして貰うように紹介をさせて頂きました。鎮痛剤を2回分処方して、処置を終わりました。このように、親知らずが下の歯茎を噛むようになって、痛くなると言う事はよくあります。

2023年11月11日土曜日

上の2番目の前歯が左右2本とも2日前から痛くなりました。虫歯ではないでしょうか?

と言う事で、若い女性が来院されました。レントゲン写真を撮って見ましたが、虫歯ではありません。虫歯ではないのに痛いと言われます。歯の状態をよく見て診ましたが、きれいな天然歯です。しかし、痛いのです?虫歯でもないのに歯が痛いってあるのでしょうか?これが、結構あるのです。理由は、歯の咬み合わせで痛くなることがあるのです。この人の場合は、右上の一番奥の歯、前から数えると7番目の歯に原因がありました。この歯は、大体一般的に中学生から高校生の時に生えて来て咬み合います。問題は、その位置が正常な位置から、外側にはみ出して生える事が多いということです。外側にはみ出ると、口を開けた時に、頬粘膜(頬っぺたの内側)がその7番目の歯の外側の部分に強くあたることになります。この当たりに違和感があるので、無意識の中に下の顎をそこに当たらない様に右にずらす様になるのです。そうすると、右噛みになります。そして、顎が右に右にずれて行きます。そのために、この人の場合は、上の前歯の2本の歯に、下の歯が強く当たり始めて痛くなった、と言う訳です。